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おのづから清き心に磨かれて
玉ときかくる法を知りぬる

歌の意味
おのずから清らかな心に磨かれて、衣の裏に掛けられていた宝玉を解き明かす仏法を知ったことだ。
鑑賞
雑歌 882

詞書「五百弟子品」
 法華経の五百弟子受記品を題とした歌である。この品には、酒に酔って眠った男の衣の裏に、親友が宝玉を縫いつけておいたが、男はそれに気づかずに貧しく暮らし、のちに教えられて初めて知ったという「衣裏繋珠」のたとえが説かれる。宝玉は人がもともと備えている仏性をいう。おのずから清らかな心に磨かれて、衣の裏の宝玉を解き明かす仏法を知った、と詠む。

 初句「おのづから」は、自然と、おのずから、の意である。
 二句「清き心に」は、清らかな心に、の意である。
 三句「磨かれて」は、磨かれて、の意で、玉の縁語である。
 四句「玉ときかくる」は、衣の裏に掛けられていた玉を解く、の意で、衣裏繋珠のたとえを踏まえている。
 結句「法を知りぬる」は、その仏法を知ったことだ、の意で、連体形で詠嘆を込めて結ぶ。

えりけいじゆ:衣の裏に宝玉を縫いつけたという法華経のたとえ
作者
西行
出典
山家集
前の歌
休むべき宿を思へば中空の 旅も何にか苦しかるべき
次の歌
いさぎよき玉を心に磨き出でて いはけなき身に悟りをぞ得し