いかにして恨みし袖に宿りけん
出でがたく見し有明の月
- 歌の意味
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どのようにして、恨んで涙に濡れていた袖に宿ったのだろう。出るのを待ちかねて見た有明の月の光が。
- 鑑賞
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雑歌 887
詞書は前の歌に続き「勧持品」
前歌に続いて勧持品を題とした歌である。勧持品では、摩訶波闍波提に続いて、釈迦の妃であった耶輸陀羅比丘尼も成仏の予言を授けられる。予言を待ちかねて恨んでいた耶輸陀羅の涙に濡れた袖に、出るのが遅いと待ちわびた有明の月が宿った、と詠み、待ちわびた授記がついに与えられた喜びを、月の光が袖の涙に映ることで表している。
初句「いかにして」は、どのようにして、の意である。
二句「恨みし袖に」は、恨んで涙に濡れていた袖に、の意で、前歌の「恨み」を受けている。
三句「宿りけん」の「けん」は過去推量の助動詞で、宿ったのだろう、の意である。ここで句切れとなる。
四句「出でがたく見し」は、なかなか出ないと待ちかねて見た、の意である。
結句「有明の月」は体言止めで、仏の授記をたとえる月で結ぶ。前歌の「月影」を受けている。
ありあけのつき:夜が明けても空に残っている月
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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天雲の晴るるみ空の月影に 恨み慰む姨捨の山
- 次の歌
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鷲の山月を入りぬと見る人は 暗きに迷ふ心なりけり