- 歌の意味
- 雲の晴れた霊鷲山の月の光を、心も澄みわたって、亡き君は今ごろ眺めていることだろうか。
- 鑑賞
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雑歌 890
詞書「なき人の跡に一品経供養しけるに、寿量品を人に代はりて」
亡くなった人のために法華経を一品ずつ分けて書写し供養した際に、ある人に代わって寿量品を担当して詠んだ歌である。雲の晴れた霊鷲山の月の光を、亡き人は心も澄みわたって眺めていることだろうか、と詠み、故人が仏の世界に生まれ変わったことを願っている。前の二首と同じく寿量品の霊鷲山の月を詠んでいる。
初句「雲晴るる」は、雲が晴れた、の意で、迷いが晴れたことを暗示している。
二句「鷲の御山の」の「鷲の御山」は霊鷲山をいう。
三句「月影を」は、月の光を、の意で、仏をたとえている。
四句「心澄みてや」の「や」は疑問の係助詞で、結句の「らん」と係り結びをなしている。
結句「君眺むらん」の「君」は故人をいい、眺めていることだろうか、と結ぶ。
わしのみやま:釈迦が説法した霊鷲山
- 作者
- 西行
- 出典
- 山家集
- 前の歌
- 悟り得し心の月の現れて 鷲の高嶺にすむにぞありける
- 次の歌
- 鷲の山誰かは月を見ざるべき 心にかかる雲し晴れなば