- 歌の意味
- 何事もすべて空であるという仏法の心によって、罪のある身だとは少しも思うまい。
- 鑑賞
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雑歌 894
詞書「心経」
般若心経を題とした歌である。般若心経は、すべてのものは空であって、実体はないという教えを説く。何事もすべて空であるという仏法の心に立てば、罪というものもまた空であるから、自分を罪ある身だとは少しも思うまい、と詠む。空の教えによって罪の意識から解き放たれる心を述べている。
初句「何事も」は、何事も、すべて、の意である。
二句「むなしき法の」の「むなし」は、実体がない、空である、の意で、般若心経の「空」の教えをいう。
三句「心にて」は、その心によって、の意である。
四句「罪ある身とは」は、罪のある身だとは、の意である。
結句「露も思はじ」の「露も」は少しも、「じ」は打消意志の助動詞で、少しも思うまい、と結ぶ。
くう:すべてのものには固定した実体がないという仏教の教え
- 作者
- 西行
- 出典
- 山家集
- 前の歌
- 散り敷きし花のにほひの名残多み 立たま憂かりし法の庭かな
- 次の歌
- 鷲の山上暗からぬ峰なれば あたりを払ふ有明の月