古典和歌stream

鷲の山上暗からぬ峰なれば
あたりを払ふ有明の月

歌の意味
霊鷲山は、その上が暗くない峰であるので、あたりの闇を払って照らす有明の月であることよ。
鑑賞
雑歌 895

詞書「無上菩提の心をよみける」
 題「無上菩提」は、この上なくすぐれた悟りをいう。霊鷲山はその上が暗くない、つまりこの上ない悟りの峰であるので、そこに照る有明の月はあたりの闇を払いのける、と詠む。「上暗からぬ」に「無上」を重ね、最高の悟りが一切の迷いを払う光であることを述べている。

 初句「鷲の山」は、霊鷲山をいう。
 二句「上暗からぬ」は、上が暗くない、の意で、題の「無上」すなわちこの上ない、を言い表している。
 三句「峰なれば」は、峰であるので、の意である。
 四句「あたりを払ふ」は、あたりの闇を払いのける、の意で、迷いを払うことをたとえている。
 結句「有明の月」は体言止めで、悟りの光をたとえる月で結ぶ。

むじやうぼだい:この上なくすぐれた悟り
作者
西行
出典
山家集
前の歌
何事もむなしき法の心にて 罪ある身とは露も思はじ
次の歌
いかなれば塵に交じりてます鏡 仕ふる人は清まはるらん