罪人の死ぬる世もなく燃ゆる火の
薪なるらんことぞ悲しき
- 歌の意味
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罪人が死ぬこともできずに、燃えさかる火の薪になっているであろうことが悲しい。
- 鑑賞
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雑歌 897
詞書「六道歌よみけるに:地獄」
六道を題として歌を詠んだなかの、地獄の歌である。六道は、衆生が生まれ変わりを繰り返す地獄、餓鬼、畜生、修羅、人、天の六つの世界で、ここから第九百二首まで六首が続く。地獄に落ちた罪人は、死ぬことも許されずに、燃えさかる火の薪となって焼かれ続けるのだろう、それが悲しい、と詠む。
初句「罪人の」は、地獄に落ちた罪人の、の意である。
二句「死ぬる世もなく」は、死ぬこともなく、の意で、地獄の責め苦が終わらないことをいう。
三句「燃ゆる火の」は、燃えさかる地獄の火の、の意である。
四句「薪なるらん」の「らん」は現在推量の助動詞で、薪となっているであろう、の意である。
結句「ことぞ悲しき」は、係助詞「ぞ」と連体形「悲しき」による係り結びで、そのことが悲しい、と結ぶ。
ろくだう:衆生が生まれ変わりを繰り返す六つの世界
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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いかなれば塵に交じりてます鏡 仕ふる人は清まはるらん
- 次の歌
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朝夕の子を養ひにすと聞けば 苦にすぐれても悲しかるらん