よしなしな争ふことを楯にして
怒りをのみも結ぶ心は
- 歌の意味
-
つまらないことだ。争うことを楯として、怒りばかりを心に結ぶ、その心は。
- 鑑賞
-
雑歌 900
詞書は前の歌に続き「六道歌よみけるに:修羅」
六道の歌の四首目で、修羅道の歌である。修羅道は、阿修羅が絶えず争い戦う世界である。争うことを楯として、怒りばかりを心に結ぶ、その心はつまらないものだ、と詠み、争いと怒りに明け暮れる修羅の心のむなしさを述べている。
初句「よしなしな」の「よしなし」は、つまらない、かいがない、の意で、「な」は詠嘆の終助詞である。ここで句切れとなる。
二句「争ふことを」は、争うことを、の意で、修羅の戦いをいう。
三句「楯にして」は、楯として、の意で、戦いの道具の楯を用いている。
四句「怒りをのみも」は、怒りばかりを、の意である。
結句「結ぶ心は」は、心に結ぶその心は、と倒置によって初句を受けて結ぶ。
しゆら:阿修羅、絶えず争い戦う者
よしなし:つまらない、かいがない
- 作者
-
西行
- 出典
-
山家集
- 前の歌
-
神楽歌に草取り飼ふはいたけれど なほその駒になることは憂し
- 次の歌
-
有り難き人になりけるかひありて 悟り求むる心あらなん