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有り難き人になりけるかひありて
悟り求むる心あらなん

歌の意味
生まれることの難しい人間に生まれてきた甲斐があって、悟りを求める心があってほしいものだ。
鑑賞
雑歌 901

詞書は前の歌に続き「六道歌よみけるに:人」
 六道の歌の五首目で、人道の歌である。仏教では、人として生まれることはきわめて難しいことだとされる。せっかく生まれ難い人間に生まれてきたのだから、その甲斐があって、悟りを求める心があってほしい、と詠み、人間に生まれたことを仏道修行の機会とするよう説いている。

 初句「有り難き」は、めったにない、生まれることが難しい、の意である。
 二句「人になりける」は、人間に生まれた、の意である。
 三句「かひありて」は、その甲斐があって、の意である。
 四句「悟り求むる」は、悟りを求める、の意である。
 結句「心あらなん」の「なん」は他に対する願望の終助詞で、心があってほしい、と結ぶ。

ありがたし:めったにない、存在することが難しい
作者
西行
出典
山家集
前の歌
よしなしな争ふことを楯にして 怒りをのみも結ぶ心は
次の歌
雲の上の楽しみとてもかひぞなき さてしもやがて住みし果てねば