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濁りたる心の水の少なきに
何かは月の影宿るべき

歌の意味
濁っている心の水が少ないところに、どうして月の光が宿ることがあろうか。
鑑賞
雑歌 903

詞書「心に思ひける事を」
 心に思ったことを詠んだ歌で、ここから第九百七首まで五首が続く。濁っていて水も少ない心に、どうして月の光が宿ることがあろうか、と詠む。月は仏の悟りの光で、自らの心の濁りと浅さを省みて、悟りから遠いことを嘆いている。

 初句「濁りたる」は、濁っている、の意で、迷いや煩悩に汚れた心をいう。
 二句「心の水の」は、心を水にたとえた語である。
 三句「少なきに」は、水が少ないところに、の意で、心の浅さをいう。
 四句「何かは月の」の「かは」は反語の係助詞で、結句の「べき」と係り結びをなしている。
 結句「影宿るべき」は、光が宿ることがあろうか、いや宿らない、と反語で結ぶ。

こころのみづ:心を水にたとえた語
作者
西行
出典
山家集
前の歌
雲の上の楽しみとてもかひぞなき さてしもやがて住みし果てねば
次の歌
いかで我清く曇らぬ身になりて 心の月の影を磨かん