逃れなくつひに行くべき道をさは
知らではいかが過ぐべかりける
- 歌の意味
-
逃れることもできず、ついには誰もが行かなければならない死出の道を、それでは知らないでいて、どうして過ごしてゆけようか。
- 鑑賞
-
雑歌 905
詞書は前の歌に続き「心に思ひける事を」
五首の三首目である。逃れることもできず、ついには誰もが行かなければならない死の道を、知らないでいて、どうして過ごしてゆけようか、と詠む。死から目をそらさず、後世のことを心にかけて生きるべきだという思いを述べている。
「つひに行く道」は、在原業平の辞世とされる「つひに行く道とはかねて聞きしかど昨日今日とは思はざりしを」でも知られた言葉である。
初句「逃れなく」は、逃れることもできず、の意である。
二句「つひに行くべき」は、最後には行かなければならない、の意で、死への道をいう。
三句「道をさは」の「さは」は、それでは、の意である。
四句「知らではいかが」の「で」は打消の接続助詞で、知らないでいてどうして、の意である。
結句「過ぐべかりける」は、過ごしてゆけようか、の意で、反語の気持ちを込めて結ぶ。
つひにゆくみち:最後には誰もが行く道、死出の道
- 作者
-
西行
- 出典
-
山家集
- 前の歌
-
いかで我清く曇らぬ身になりて 心の月の影を磨かん
- 次の歌
-
愚かなる心にのみや任すべき 師となることもあるなるものを