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愚かなる心にのみや任すべき
師となることもあるなるものを

歌の意味
愚かな心にばかり身を任せてよいものだろうか。心の師となることもあると聞くのに。
鑑賞
雑歌 906

詞書は前の歌に続き「心に思ひける事を」
 五首の四首目である。経典には「心の師とはなるとも、心を師とせざれ」と説かれる。愚かな心にばかり身を任せてよいものだろうか、心の師となることもあると聞くのに、と詠み、心に振り回されず、心を導く者になろうとする決意を述べている。

 初句「愚かなる」は、愚かな、の意である。
 二句「心にのみや」の「のみ」は限定、「や」は疑問の係助詞で、三句の「べき」と係り結びをなしている。
 三句「任すべき」は、任せてよいものだろうか、の意である。ここで句切れとなる。
 四句「師となることも」は、心の師となることも、の意で、経典の教えを踏まえている。
 結句「あるなるものを」の「なる」は伝聞の助動詞で、あると聞くのに、と結ぶ。

し:師、導く者
作者
西行
出典
山家集
前の歌
逃れなくつひに行くべき道をさは 知らではいかが過ぐべかりける
次の歌
野に立てる枝なき木にも劣りけり 後の世知らぬ人の心は