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あはれ知る涙の露ぞこぼれける
草の庵を結ぶ契りは

歌の意味
しみじみと身にしみる涙の露がこぼれたことだ。草の庵を結ぶことになったこの宿縁には。
鑑賞
雑歌 911

詞書は前の歌に続き「五首述懐」
 五首の四首目である。草の庵を結んで住むことになったこの宿縁を思うと、しみじみと涙の露がこぼれた、と詠む。前歌の山里の住まいを受けて、遁世の身となったことへの深い感慨を述べている。

 初句「あはれ知る」は、しみじみとした情趣を感じる、の意である。
 二句「涙の露ぞ」は、涙を露にたとえたもので、「ぞ」は係助詞で、三句の「ける」と係り結びをなしている。
 三句「こぼれける」は、こぼれたことだ、の意である。ここで句切れとなる。
 四句「草の庵を」は、草で作った粗末な庵を、の意で、「露」の縁語である。
 結句「結ぶ契りは」の「結ぶ」は庵を作る意で、「契り」は宿縁をいう。倒置によって三句を受けて結ぶ。

くさのいほり:草で作った粗末な庵
むすぶ:庵を作る
作者
西行
出典
山家集
前の歌
身の憂さの隠れ家にせん山里は 心ありてぞ住むべかりける
次の歌
浮かれ出づる心は身にもかなはねば いかなりとてもいかにかはせん