露漏らぬ岩屋も袖は濡れけりと
聞かずはいかがあやしからまし
- 歌の意味
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露も漏らない岩屋でも袖は濡れたのだと聞いていなかったならば、どんなに不思議に思ったことだろう。
- 鑑賞
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雑歌 917
詞書「御岳より笙の岩屋へ参りけるに、漏らぬ岩屋も、とありけん折思ひ出でられて」
大峰の御岳から笙の岩屋へ参ったとき、行尊が「漏らぬ岩屋も」と詠んだという折のことが思い出されて詠んだ歌である。行尊の歌は「草の庵何露けしと思ひけん漏らぬ岩屋も袖は濡れけり」で、笙の岩屋で詠まれたものである。露も漏らない岩屋でも袖は濡れたと聞いていなかったら、涙で袖が濡れることをどんなに不思議に思っただろう、と詠み、行尊と同じ感動を味わっている。
初句「露漏らぬ」は、露も漏らない、の意で、行尊の歌の「漏らぬ岩屋」を受けている。
二句「岩屋も袖は」の「岩屋」は大峰の笙の岩屋をいう。
三句「濡れけりと」は、濡れたのだと、の意で、行尊の歌の結句を踏まえている。
四句「聞かずはいかが」は、聞いていなかったならばどんなに、の意である。
結句「あやしからまし」の「まし」は反実仮想の助動詞で、不思議に思っただろう、と結ぶ。
いはや:岩の洞窟
しやうのいはや:大峰山中の修行の霊場の岩屋
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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今宵こそあはれみあつき心地して 嵐の音をよそに聞きつれ
- 次の歌
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分けきつる小笹の露にそぼちつつ 干しぞわづらふ墨染の袖