- 歌の意味
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袈裟の色を若紫に染めてしまったのか。苔の衣の粗末な袂を、思い返して捨てて。
- 鑑賞
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雑歌 919
詞書「阿闍梨源賢、世を遁れて高野に住み侍りける、あからさまに仁和寺へ出でて、帰りも参らぬことにて、僧都になりぬと聞きて、言ひ遣はしける」
阿闍梨の源賢は、世を遁れて高野山に住んでいたが、ちょっと仁和寺へ出かけたまま帰って来ず、僧都になったと聞いて、言い送った歌である。高位の僧は紫の袈裟を着ることを許された。遁世者の粗末な苔の衣を思い返して、袈裟の色を紫に染めてしまったのか、と詠み、名利を求めて高野を離れた源賢を、からかいを込めて批判している。
初句「袈裟の色や」の「や」は疑問の係助詞で、三句の「ける」と係り結びをなしている。六音の字余りである。
二句「若紫に」は、若々しい紫色に、の意で、僧都など高位の僧が着る紫の袈裟をいう。
三句「染めてける」は、染めてしまったのか、の意である。ここで句切れとなる。
四句「苔の袂を」の「苔の袂」は、苔の衣の袂で、遁世者の粗末な衣をいう。二句の「若紫」と色の対比をなしている。
結句「思ひ返して」は、思い返して捨てて、と倒置によって三句を受けて結ぶ。
けさ:僧が衣の上に掛ける布
こけのたもと:苔の衣の袂、遁世者の粗末な衣
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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分けきつる小笹の露にそぼちつつ 干しぞわづらふ墨染の袖
- 次の歌
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消えぬべき露の命も君が問ふ 言の葉にこそ起きゐられけれ