琴の音に涙を添へて流すかな
絶えなましかばと思ふあはれに
- 歌の意味
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琴の音に涙を添えて流すことだ。もし命が絶えていたならばと思う、その哀れさに。
- 鑑賞
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雑歌 922
詞書「院の小侍従、例ならぬ事大事に伏し沈みて、年月経にけりと聞こえて、弔ひにまかりたりけるに、この程少しよろしきよし申して、人にも聞かせぬ和琴の手弾き鳴らしけるを聞きて」
院の小侍従が重い病に伏して何年もたったと聞いて見舞いに行ったところ、近頃は少し具合がよいと言って、人にも聞かせない和琴の曲を弾き鳴らしたのを聞いて詠んだ歌である。小侍従は待宵の小侍従とも呼ばれた歌人である。琴の音に涙を添えて流す、もしあなたの命が絶えていたならばと思うと哀れで、と詠む。
初句「琴の音に」は、和琴の音に、の意である。
二句「涙を添へて」は、涙を加えて、の意である。
三句「流すかな」の「流す」は、琴の音を流す意と、涙を流す意とを重ねている。ここで句切れとなる。
四句「絶えなましかばと」は、もし絶えていたならばと、の意で、命が絶えることと琴の音が絶えることとを重ねている。八音の字余りである。
結句「思ふあはれに」は、思う哀れさのために、と倒置によって三句を受けて結ぶ。
わごん:日本古来の六弦の琴
れいならぬこと:病気
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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吹き過ぐる風しやみなば頼もしみ 秋の野もせの露の白玉
- 次の歌
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頼むべきこともなき身を今日までも 何にかかれる玉の緒ならん