古典和歌stream

あだに散る木の葉につけて思ふかな
風誘ふめる露の命を

歌の意味
はかなく散る木の葉を見るにつけて思うことだ。風が誘って散らしてしまいそうな、露のような命を。
鑑賞
雑歌 925

詞書は前の歌に続き「風煩ひて山寺に帰りけるに、人々弔ひて、よろしくなりなばまた疾くと申し侍りけるに、おのおのの心ざしを思ひて/返しどもありけり、聞き及ばぬは書かず」
 五首の二首目である。はかなく散る木の葉を見るにつけて、風が誘って散らしてしまいそうな、露のような自らの命を思う、と詠む。「風」に風邪を掛けて、病の身のはかなさを述べている。

 初句「あだに散る」は、はかなく散る、の意である。
 二句「木の葉につけて」は、木の葉を見るにつけて、の意である。
 三句「思ふかな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、ここで句切れとなる。
 四句「風誘ふめる」の「風」は、吹く風と風邪とを掛けており、「める」は推定の助動詞で、誘うらしい、の意である。
 結句「露の命を」は、露のようにはかない命を、と倒置によって三句を受けて結ぶ。

あだ:はかない、むなしい
作者
西行
出典
山家集
前の歌
定めなし風煩はぬ折だにも またこんことを頼むべき世か
次の歌
我なくはこの里人や秋深き 露を袂にかけて偲ばん