帰れども人の情けに慕はれて
心は身にも添はずなりぬる
- 歌の意味
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山寺に帰りはするけれども、人々の情けに引かれて、心は身にも添わなくなってしまったことだ。
- 鑑賞
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雑歌 928
詞書は前の歌に続き「風煩ひて山寺に帰りけるに、人々弔ひて、よろしくなりなばまた疾くと申し侍りけるに、おのおのの心ざしを思ひて/返しどもありけり、聞き及ばぬは書かず」
五首の最後の一首である。山寺に帰りはするけれども、人々の情けに引かれて、心は身から離れてしまった、と詠む。前歌の「心を君が宿にとどめて」を受けて、身は帰っても心は人々のもとに残る名残を述べ、五首を結んでいる。
初句「帰れども」は、帰るけれども、の意である。
二句「人の情けに」は、人々の情けに、の意である。
三句「慕はれて」の「れ」は自発の助動詞で、自然と心が引かれて、の意である。
四句「心は身にも」は、心はわが身にも、の意で、前歌の「心を君が宿にとどめて」を受けている。
結句「添はずなりぬる」は、添わなくなってしまった、の意で、連体形で詠嘆を込めて結ぶ。
したふ:心が引かれる、慕う
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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さまざまにあはれ多かる別れかな 心を君が宿にとどめて
- 次の歌
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もろともに散る言の葉を書くほどに やがても袖のそぼちぬるかな