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家の風伝ふばかりはなけれども
などか散らさぬなげの言の葉

歌の意味
家の歌風を伝えるほどのものではないけれども、どうして私のかりそめの歌は散らして差し出してくれないのか。
鑑賞
雑歌 931

詞書「寂超、為忠が歌に我が歌書き具し、又弟の寂然が歌なども取り具して、新院へ参らせけるを、人に取り伝へて参らせさせけりと聞きて、兄に侍りける想空がもとより」
 寂超が父為忠の歌に自分の歌を書き添え、弟の寂然の歌なども取りそろえて新院に献上し、それを人に取り次いでもらったと聞いて、寂超の兄である想空から西行のもとに届いた歌である。家の歌風を伝えるほどではないけれども、どうして私のかりそめの歌は加えて差し出してくれないのか、と詠み、兄弟のなかで自分の歌だけが加えられなかった不満を述べている。

 初句「家の風」は、その家に伝わる歌の風、家風の意である。
 二句「伝ふばかりは」は、伝えるほどには、の意である。
 三句「なけれども」は、ないけれども、の意である。
 四句「などか散らさぬ」の「などか」は、どうして、の意で、「散らす」は歌を世に出すことをいう。「風」の縁語である。
 結句「なげの言の葉」の「なげ」は、かりそめ、なおざり、の意で、体言止めで結ぶ。

いへのかぜ:その家に代々伝わる芸道の流儀、家風
なげ:かりそめ、なおざり
作者
想空
出典
山家集
前の歌
年経れど朽ちぬときはの言の葉を さぞ偲ぶらん大原の里
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家の風むねと吹くべきこのもとは 今散りなんと思ふ言の葉