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家の風むねと吹くべきこのもとは
今散りなんと思ふ言の葉

歌の意味
家の歌風を中心となって伝えるべき長男のもとの歌は、今にも散らして世に出されるであろうと思う歌である。
鑑賞
雑歌 932

詞書「返し」
 前歌への西行の返歌である。家の歌風を中心となって伝えるべき長男であるあなたの歌は、今にも世に出されるだろうと思う、と詠み、想空の不満をなだめている。前歌の「家の風」「散らさぬ」「言の葉」を受け、風が吹けば木の葉が散るように、あなたの歌もやがて世に出ると応じている。

 初句「家の風」は、前歌の初句と同じ語で、相手の言葉を受けている。
 二句「むねと吹くべき」の「むね」は、主とするもの、中心の意で、中心となって伝えるべき、の意である。
 三句「このもとは」の「こ」は、木の意と、子すなわち為忠の長男である想空とを掛けた掛詞である。
 四句「今散りなんと」は、今にも散るだろうと、の意で、前歌の「散らさぬ」を受けている。
 結句「思ふ言の葉」は、そう思う歌である、の意で、体言止めで結ぶ。

むね:主とするもの、中心
こ:木の意と、子を掛ける
作者
西行
出典
山家集
前の歌
家の風伝ふばかりはなけれども などか散らさぬなげの言の葉
次の歌
家の風吹き伝へけるかひありて 散る言の葉の珍しきかな