古典和歌stream

訪ふ人も思ひ絶えたる山里の
さびしさなくは住み憂からまし

歌の意味
訪ねてくる人も途絶えてしまった山里の、この寂しさがなかったならば、かえって住みづらいことだろう。
鑑賞
雑歌 937

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 訪ねてくる人も途絶えた山里の寂しさがなかったならば、かえって住みづらいだろう、と詠む。寂しさこそが山里に住む意味であり、遁世者にとってかけがえのないものだという逆説を述べている。
 この歌は新古今和歌集の雑歌に収められている。

 初句「訪ふ人も」は、訪ねてくる人も、の意である。
 二句「思ひ絶えたる」は、来ることをあきらめてしまった、途絶えた、の意である。
 三句「山里の」は、山里の、の意である。
 四句「さびしさなくは」は、寂しさがなかったならば、の意である。
 結句「住み憂からまし」の「まし」は反実仮想の助動詞で、住みづらいだろう、と結ぶ。

すみうし:住みづらい
作者
西行
出典
山家集
前の歌
峰渡る嵐激しき山里に 添へて聞こゆる滝川の水
次の歌
暁の嵐にたぐふ鐘の音を 心の底にこたへてぞ聞く