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暁の嵐にたぐふ鐘の音を
心の底にこたへてぞ聞く

歌の意味
暁の嵐に連れ立って響いてくる鐘の音を、心の底にまで響かせて聞くことだ。
鑑賞
雑歌 938

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 暁の嵐に連れ立って聞こえてくる鐘の音を、心の底にまで響かせて聞く、と詠む。暁の鐘は勤行を告げるもので、その音が嵐とともに心の奥に深く響く山里の暁を描いている。

 初句「暁の」は、夜明け前の、の意である。
 二句「嵐にたぐふ」の「たぐふ」は、連れ立つ、伴う、の意である。
 三句「鐘の音を」は、寺の鐘の音を、の意で、六音の字余りである。
 四句「心の底に」は、心の奥底に、の意である。
 結句「こたへてぞ聞く」の「こたふ」は、響く、反響する意で、係助詞「ぞ」と連体形「聞く」が係り結びをなしている。

たぐふ:連れ立つ、伴う
こたふ:響く、反響する
作者
西行
出典
山家集
前の歌
訪ふ人も思ひ絶えたる山里の さびしさなくは住み憂からまし
次の歌
待たれつる入相の鐘の音すなり 明日もやあらば聞かんとすらん