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待たれつる入相の鐘の音すなり
明日もやあらば聞かんとすらん

歌の意味
待たれていた入相の鐘の音が聞こえてくる。明日もまた生きていたならば、この音を聞くことになるのだろうか。
鑑賞
雑歌 939

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 待たれていた入相の鐘の音が聞こえてくる、明日もまた生きていたならば、この音を聞くことになるのだろうか、と詠む。一日の終わりを告げる鐘の音に、明日も生きているとは限らない命のはかなさを思っている。前歌の暁の鐘に対して、夕暮れの鐘を詠んでいる。

 初句「待たれつる」は、自然と待たれていた、の意である。
 二句「入相の鐘の」は、日の暮れる頃に撞く鐘の、の意で、八音の字余りである。前歌の暁の鐘と対になっている。
 三句「音すなり」の「なり」は推定の助動詞で、音がするようだ、の意である。ここで句切れとなる。
 四句「明日もやあらば」の「や」は疑問の係助詞で、結句の「らん」と係り結びをなしている。
 結句「聞かんとすらん」は、聞こうとするのだろうか、の意である。

いりあひ:日の暮れる頃、またその時に撞く鐘
作者
西行
出典
山家集
前の歌
暁の嵐にたぐふ鐘の音を 心の底にこたへてぞ聞く
次の歌
松風の音あはれなる山里に さびしさ添ふる日ぐらしの声