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谷の間にひとりぞ松も立てりける
我のみ友はなきかと思へば

歌の意味
谷の間に、松もひとりで立っていたのだった。友がいないのは自分だけかと思っていたのに。
鑑賞
雑歌 941

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 友がいないのは自分だけかと思っていたが、谷の間には松もひとりで立っていた、と詠む。孤独な自分と同じように立つ松に、親しみを見いだしている。
 この歌は新古今和歌集の雑歌に収められている。

 初句「谷の間に」は、谷の間に、の意である。
 二句「ひとりぞ松も」の「ぞ」は係助詞で、三句の「ける」と係り結びをなしている。
 三句「立てりける」は、立っていたのだった、の意である。ここで句切れとなる。
 四句「我のみ友は」は、自分だけが友は、の意である。
 結句「なきかと思へば」は、ないのかと思っていたが、と倒置によって三句を受けて結ぶ。

たにのま:谷の間、谷あい
作者
西行
出典
山家集
前の歌
松風の音あはれなる山里に さびしさ添ふる日ぐらしの声
次の歌
入日さす山のあなたは知らねども 心をかねて送り置きつる