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嵐越す峰の木の間を分けきつつ
谷の清水に宿る月影

歌の意味
嵐が吹き越えてゆく峰の木々の間を分けてきて、谷の清水に宿る月の光であることよ。
鑑賞
雑歌 946

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 嵐が吹き越える峰の木々の間を分けてきて、谷の清水に月の光が宿っている、と詠む。峰から谷へと降りてくる月の光の動きを、上下の対比のなかで描いている。
 本巻の第七百五十四首の「峰の木の間を分くる月影」と、峰の木の間を分けて谷へ届く月を詠む点で響き合っている。

 初句「嵐越す」は、嵐が吹き越える、の意である。
 二句「峰の木の間を」は、峰の木々の間を、の意である。
 三句「分けきつつ」は、分けてきて、の意である。
 四句「谷の清水に」は、谷の清らかな水に、の意で、二句の「峰」と上下の対比をなしている。
 結句「宿る月影」は体言止めで、水に映る月の光で結ぶ。

しみづ:湧き出る清らかな水
作者
西行
出典
山家集
前の歌
鶉伏す刈田のひつぢ生ひ出でて ほのかに照らす三日月の影
次の歌
濁るべき岩井の水にあらねども 汲まば宿れる月や騒がん