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柴の庵は住み憂きこともあらましを
伴ふ月の影なかりせば

歌の意味
柴の庵は住みづらいこともあったであろうに。もし連れ添ってくれる月の光がなかったならば。
鑑賞
雑歌 950

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 連れ添ってくれる月の光がなかったならば、柴の庵は住みづらいこともあっただろう、と詠む。前の二首に続いて、山の庵の暮らしを支える友として月を詠んでいる。

 初句「柴の庵は」は、柴で作った粗末な庵は、の意で、六音の字余りである。本巻の第七百二十五首にも詠まれた語である。
 二句「住み憂きことも」は、住みづらいことも、の意である。
 三句「あらましを」の「まし」は反実仮想の助動詞で、あっただろうに、の意である。ここで句切れとなる。
 四句「伴ふ月の」は、連れ添う月の、の意で、前の二首の「友」に通じる。
 結句「影なかりせば」の「せば」は反実仮想の仮定で、光がなかったならば、と倒置によって三句を受けて結ぶ。

しばのいほ:柴で作った粗末な庵
作者
西行
出典
山家集
前の歌
尋ね来て言問ふ人のなき宿に 木の間の月の影ぞさし来る
次の歌
影消えて端山の月は漏りもこず 谷は梢の雪と見えつつ