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雲にただ今宵の月を任せてん
厭ふとてしも晴れぬものゆゑ

歌の意味
雲にただ今宵の月を任せてしまおう。嫌がったところで晴れるものではないのだから。
鑑賞
雑歌 952

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 今宵の月はただ雲に任せてしまおう、雲を嫌ったところで晴れるものではないのだから、と詠む。月を隠す雲を恨むのをやめ、あるがままに任せようとする心を述べている。ここから第九百五十五首まで、雲や雨に隠れる月を詠む歌が続く。

 初句「雲にただ」は、雲にただ、の意である。
 二句「今宵の月を」は、今宵の月を、の意である。
 三句「任せてん」の「てん」は強い意志を表し、任せてしまおう、の意である。ここで句切れとなる。
 四句「厭ふとてしも」は、嫌ったところで、の意である。
 結句「晴れぬものゆゑ」は、晴れるものではないのだから、と倒置によって三句の理由を示して結ぶ。

いとふ:嫌って避ける、厭う
作者
西行
出典
山家集
前の歌
影消えて端山の月は漏りもこず 谷は梢の雪と見えつつ
次の歌
月を見るほかもさこそは厭ふらめ 雲ただここの空に漂へ