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月を見るほかもさこそは厭ふらめ
雲ただここの空に漂へ

歌の意味
月を見るよその所の人々も、さぞかし雲を嫌っているであろう。雲よ、ただこの空にだけ漂っていよ。
鑑賞
雑歌 953

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 月を見ようとしているよその人々も、さぞかし雲を嫌っているだろう、雲よ、ただこの空にだけ漂っていよ、と詠む。自分だけが雲に隠れた月を我慢して、ほかの人々には月を見せてやりたいという思いやりを述べている。前歌の「厭ふ」を受けている。

 初句「月を見る」は、月を見る、の意である。
 二句「ほかもさこそは」の「ほか」は、よその所の人々の意で、「さこそは」は、さぞかし、の意である。
 三句「厭ふらめ」は、係助詞「こそ」の結びの已然形で、嫌っているだろう、の意である。前歌の「厭ふ」を受けている。ここで句切れとなる。
 四句「雲ただここの」は、雲よ、ただこの、の意で、雲への呼びかけである。
 結句「空に漂へ」は命令形で、空に漂っていよ、と結ぶ。

いとふ:嫌って避ける、厭う
作者
西行
出典
山家集
前の歌
雲にただ今宵の月を任せてん 厭ふとてしも晴れぬものゆゑ
次の歌
晴れ間なく雲こそ空に満ちにけれ 月見ることは思ひ絶えなん