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濡るれども雨漏る宿の嬉しきは
入り来ん月を思ふなりけり

歌の意味
濡れはするけれども、雨の漏るこの住まいが嬉しいのは、晴れたあとに入り込んでくる月の光を思うからであった。
鑑賞
雑歌 955

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 雨が漏って濡れはするけれども、この荒れた住まいが嬉しいのは、雨が漏るほどの屋根の隙間から、晴れたあとに月の光が入り込んでくるのを思うからだ、と詠む。粗末な住まいの不便さを、月への思いによって喜びに転じている。前の三首の雲に隠れた月を受けている。

 初句「濡るれども」は、濡れはするけれども、の意である。
 二句「雨漏る宿の」は、雨の漏る住まいの、の意である。
 三句「嬉しきは」は、嬉しいのは、の意である。
 四句「入り来ん月を」は、入り込んでくるであろう月の光を、の意である。
 結句「思ふなりけり」の「なりけり」は気づきの詠嘆で、思うからであった、と結ぶ。

やど:家、住まい
作者
西行
出典
山家集
前の歌
晴れ間なく雲こそ空に満ちにけれ 月見ることは思ひ絶えなん
次の歌
分け入りて誰かは人を尋ぬべき 岩陰草の茂る山路を