古典和歌stream

分け入りて誰かは人を尋ぬべき
岩陰草の茂る山路を

歌の意味
分け入って、いったい誰が人を訪ねてくるだろうか。岩陰の草の茂る、この山路を。
鑑賞
雑歌 956

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 岩陰の草が生い茂るこの山路を、いったい誰が分け入って人を訪ねてくるだろうか、と詠む。人の訪れることのない山住まいの孤独を、草に埋もれた山路によって表している。

 初句「分け入りて」は、草を分けて入って、の意である。
 二句「誰かは人を」の「かは」は反語の係助詞で、三句の「べき」と係り結びをなしている。
 三句「尋ぬべき」は、訪ねてくるだろうか、いや誰も来ない、の意である。ここで句切れとなる。
 四句「岩陰草の」は、岩陰に生える草の、の意である。
 結句「茂る山路を」は、茂っている山路を、と倒置によって三句を受けて結ぶ。

いはかげ:岩の陰
作者
西行
出典
山家集
前の歌
濡るれども雨漏る宿の嬉しきは 入り来ん月を思ふなりけり
次の歌
山里は谷の筧の絶え絶えに 水恋鳥の声聞こゆなり