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熊の住む苔の岩山恐ろしみ
むべなりけりな人も通はぬ

歌の意味
熊の住む苔むした岩山は恐ろしいので、なるほど人も通わないわけである。
鑑賞
雑歌 962

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 熊の住む苔むした岩山は恐ろしいので、なるほど人も通ってこないわけだ、と詠む。人の訪れない深山の荒々しさを、熊の住む岩山として描いている。

 初句「熊の住む」は、熊が住んでいる、の意である。
 二句「苔の岩山」は、苔むした岩山の意である。
 三句「恐ろしみ」は、恐ろしいので、の意で、形容詞の語幹に「み」が付いて理由を表す。
 四句「むべなりけりな」の「むべ」は、なるほど、もっともだ、の意で、「な」は詠嘆の終助詞である。ここで句切れとなる。
 結句「人も通はぬ」は、人も通ってこない、と倒置によって四句を受けて結ぶ。

むべ:なるほど、もっともだ
作者
西行
出典
山家集
前の歌
つづら這ふ端山は下も茂ければ 住む人いかに木暗かるらん
次の歌
音はせて岩にたばしる霰こそ 蓬の窓の友となりけれ