古典和歌stream

あはれにぞ物めかしくは聞こえける
枯れたる楢の柴の落ち葉は

歌の意味
しみじみと、まるで何かが訪れたかのように聞こえたことだ。枯れた楢の小枝の落ち葉の音は。
鑑賞
雑歌 964

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 枯れた楢の小枝の落ち葉の音が、まるで何かが訪れたかのように、しみじみと聞こえた、と詠む。人の訪れない山住まいで、落ち葉の音にさえ人の気配を感じる孤独を描いている。

 初句「あはれにぞ」は、しみじみと、の意で、「ぞ」は係助詞で、三句の「ける」と係り結びをなしている。
 二句「物めかしくは」の「物めかし」は、何かがあるかのようだ、の意である。
 三句「聞こえける」は、聞こえたことだ、の意である。ここで句切れとなる。
 四句「枯れたる楢の」は、枯れた楢の、の意である。
 結句「柴の落ち葉は」の「柴」は小さな枝で、倒置によって三句を受けて結ぶ。

ものめかし:何かがあるかのようだ、それらしい
しば:小さな雑木、小枝
作者
西行
出典
山家集
前の歌
音はせて岩にたばしる霰こそ 蓬の窓の友となりけれ
次の歌
柴囲ふ庵のうちは旅立ちて すどほる風もとまらざりけり