古典和歌stream

柴囲ふ庵のうちは旅立ちて
すどほる風もとまらざりけり

歌の意味
柴で囲った庵のなかは、主が旅立って留守なので、素通りしてゆく風さえも、とどまらないことだ。
鑑賞
雑歌 965

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 柴で囲った庵は、主が旅立って留守なので、なかを素通りしてゆく風さえとどまらない、と詠む。旅に出た漂泊の身の、主のいない庵の寂しさを、通り抜ける風によって表している。

 初句「柴囲ふ」は、柴で囲った、の意である。
 二句「庵のうちは」は、庵のなかは、の意である。
 三句「旅立ちて」は、主が旅立って、の意である。
 四句「すどほる風も」は、素通りしてゆく風も、の意である。
 結句「とまらざりけり」は、とどまらないことだ、の意で、「けり」の詠嘆で結ぶ。

すどほる:立ち止まらずに通り過ぎる
作者
西行
出典
山家集
前の歌
あはれにぞ物めかしくは聞こえける 枯れたる楢の柴の落ち葉は
次の歌
谷風は戸を吹き開けて入るものを 何と嵐の窓叩くらん