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谷風は戸を吹き開けて入るものを
何と嵐の窓叩くらん

歌の意味
谷風は戸を吹き開けて入ってくるものなのに、どうして嵐はわざわざ窓を叩くのだろう。
鑑賞
雑歌 966

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 谷風は戸を吹き開けて入ってくるのに、どうして嵐は窓を叩くのだろう、と詠む。嵐が窓を叩く音を、人が訪れて戸を叩くかのようにとらえ、谷風と嵐とを擬人化して、訪れる人のない山住まいを戯れて描いている。

 初句「谷風は」は、谷から吹く風は、の意である。
 二句「戸を吹き開けて」は、戸を吹き開けて、の意である。
 三句「入るものを」の「ものを」は逆接の接続助詞で、入ってくるのに、の意である。
 四句「何と嵐の」は、どうして嵐が、の意である。
 結句「窓叩くらん」の「らん」は現在推量の助動詞で、窓を叩くのだろう、と結ぶ。

たにかぜ:谷から吹く風
作者
西行
出典
山家集
前の歌
柴囲ふ庵のうちは旅立ちて すどほる風もとまらざりけり
次の歌
春浅き篠の籬に風冴えて まだ雪消えぬ信楽の里