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真木割る飛騨の工や出でぬらん
村雨過ぐるかさとりの山

歌の意味
真木を割る飛騨の工匠が仕事に出てきたのであろうか。村雨が通り過ぎて、笠を取る笠取山であることよ。
鑑賞
雑歌 973

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 村雨が通り過ぎた笠取山で、真木を割る飛騨の工匠が仕事に出てきたのだろうか、と詠む。笠取山は山城国の歌枕で、その名に、雨が過ぎて笠を取る意を掛けている。飛騨の工匠は木工の名手として知られた。

 初句「真木割る」は、杉や檜などの良材を割る、の意である。
 二句「飛騨の工や」の「飛騨の工」は、飛騨国から都に上って木工にたずさわった工匠である。「や」は疑問の係助詞で、三句の「らん」と係り結びをなしている。
 三句「出でぬらん」は、出てきたのだろうか、の意である。ここで句切れとなる。
 四句「村雨過ぐる」は、にわか雨が通り過ぎる、の意である。
 結句「かさとりの山」の「かさとり」は、地名の笠取と、雨が過ぎて笠を取る意とを掛けた掛詞である。

まき:杉や檜などの良材
ひだのたくみ:飛騨国から都に上った木工の工匠
かさとり:地名の笠取と、笠を取る意を掛ける
作者
西行
出典
山家集
前の歌
小笹原葉末の露は玉に似て 石なき山を行く心地する
次の歌
川合ひや真木の裾山石立てて 杣人いかに涼しかるらん