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麓行く舟人いかに寒からん
熊山岳を下ろす嵐に

歌の意味
山の麓を舟で行く人は、どれほど寒いことだろう。熊山岳から吹きおろす嵐に。
鑑賞
雑歌 978

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 熊山岳から吹きおろす嵐のなかを、麓を舟で行く人はどれほど寒いことだろう、と詠む。熊山岳は備前国の山とされる。山から吹きおろす嵐に吹かれる舟人の寒さを思いやっている。

 初句「麓行く」は、山の麓を行く、の意である。
 二句「舟人いかに」は、舟人はどれほど、の意である。
 三句「寒からん」は、寒いことだろう、の意である。ここで句切れとなる。
 四句「熊山岳を」は、熊山の岳を、の意で、山の名である。
 結句「下ろす嵐に」は、吹きおろす嵐に、と倒置によって三句を受けて結ぶ。

ふなびと:舟に乗る人、船頭
作者
西行
出典
山家集
前の歌
雲取や志古の山路はさておきて 小口が原のさびしからぬか
次の歌
折りかくる波の立つかと見ゆるかな さすがに来ゐる鷺の群鳥