古典和歌stream

伝ひくる打樋を絶えず任すれば
山田は水も思はざりけり

歌の意味
伝わって流れてくる樋の水を絶えず引き入れるので、山田では水の心配もしないことだ。
鑑賞
雑歌 982

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 伝わって流れてくる樋の水を絶えず引き入れるので、山田では水の心配もいらない、と詠む。前歌の荒れ田とは対照的に、樋で水を引いて潤う山田の暮らしを描いている。

 初句「伝ひくる」は、伝わって流れてくる、の意である。
 二句「打樋を絶えず」の「打樋」は、水を引くために掛け渡した樋である。
 三句「任すれば」は、水を引き入れるので、の意である。
 四句「山田は水も」は、山の田では水のことも、の意である。
 結句「思はざりけり」は、心配もしないことだ、の意で、「けり」の詠嘆で結ぶ。

うちひ:水を引くために掛け渡した樋
まかす:水を引き入れる
作者
西行
出典
山家集
前の歌
荒れにける沢田の畔に苦参生ひて 秋待つべくもなきわたりかな
次の歌
身にしみし荻の音には変はれども しぶく風こそげには物憂き