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小芹摘む沢の氷のひま絶えて
春めき初むる桜井の里

歌の意味
小芹を摘む沢の氷もすっかり解けてなくなり、春らしくなりはじめた桜井の里であることよ。
鑑賞
雑歌 984

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 小芹を摘む沢の氷もすっかり解けて、春らしくなりはじめた桜井の里である、と詠む。早春の訪れを、芹摘みと氷解けによって描き、地名の「桜」に春の気配を響かせている。

 初句「小芹摘む」は、小さな芹を摘む、の意である。
 二句「沢の氷の」は、沢に張った氷の、の意である。
 三句「ひま絶えて」は、氷がすっかり解けて、の意と見られる。
 四句「春めき初むる」は、春らしくなりはじめる、の意である。
 結句「桜井の里」は体言止めで、地名の「桜」に春を響かせて結ぶ。

こぜり:小さな芹
はるめく:春らしくなる
作者
西行
出典
山家集
前の歌
身にしみし荻の音には変はれども しぶく風こそげには物憂き
次の歌
来る春は峰に霞を先立てて 谷の筧を伝ふなりけり