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春になる桜の枝は何となく
花なけれども睦ましきかな

歌の意味
春になった桜の枝は、何ということもなく、まだ花はないけれども親しく慕わしいことだ。
鑑賞
雑歌 986

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 春になった桜の枝は、まだ花はないけれども、何ということもなく親しく慕わしい、と詠む。花を愛した西行の、咲く前の桜の枝にまで心ひかれる思いを述べている。

 初句「春になる」は、春になった、の意である。
 二句「桜の枝は」は、桜の枝は、の意である。
 三句「何となく」は、何ということもなく、の意である。
 四句「花なけれども」は、まだ花はないけれども、の意である。
 結句「睦ましきかな」の「睦まし」は、親しく慕わしい、の意で、「かな」の詠嘆で結ぶ。

むつまし:親しく慕わしい
作者
西行
出典
山家集
前の歌
来る春は峰に霞を先立てて 谷の筧を伝ふなりけり
次の歌
空渡る雲なりけりな吉野山 花もて渡る風と見たれば