- 歌の意味
- さらにまた霞に暮れてゆく山路であることよ。春の花を尋ねて出てきた花の曙なのに。
- 鑑賞
-
雑歌 988
詞書は前の歌に続き「題しらず」
春の花を尋ねて曙に出てきたのに、山路はさらにまた霞に暮れてゆく、と詠む。花を求めて山深く分け入る心と、霞に閉ざされてゆく山路とを描いている。
初句「さらにまた」は、さらにまた、の意である。
二句「霞に暮るる」は、霞に包まれて暗くなる、の意である。
三句「山路かな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、ここで句切れとなる。
四句「春を尋ぬる」は、春を尋ねる、の意で、花を求めることをいう。
結句「花の曙」は体言止めで、花の咲く山の明け方で結び、二句の「暮るる」と対になっている。
あけぼの:夜がほのぼのと明けるころ
- 作者
- 西行
- 出典
- 山家集
- 前の歌
- 空渡る雲なりけりな吉野山 花もて渡る風と見たれば
- 次の歌
- 雲もかかれ花とを春は見て過ぎん いづれの山もあだに思はで