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雲かかる山見は我も思ひ出に
花ゆゑ馴れし睦び忘れず

歌の意味
雲のかかる山を見ることは、私にとっても思い出であって、花のために馴れ親しんだその親しみを忘れない。
鑑賞
雑歌 990

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 雲のかかる山を見ることは私にとっても思い出であって、花のために馴れ親しんだその親しみを忘れない、と詠む。雲を花に見立ててきた山々に、花を愛して通い慣れた日々の思い出を重ねている。前歌の「雲」「花」を受けて、花をめぐる歌を結んでいる。

 初句「雲かかる」は、雲のかかる、の意で、前歌の初句「雲もかかれ」を受けている。
 二句「山見は我も」は、山を見ることは私も、の意である。
 三句「思ひ出に」は、思い出として、の意である。
 四句「花ゆゑ馴れし」は、花のために馴れ親しんだ、の意である。
 結句「睦び忘れず」の「睦び」は親しみの意で、忘れない、と結ぶ。

むつび:親しみ、親しい交わり
作者
西行
出典
山家集
前の歌
雲もかかれ花とを春は見て過ぎん いづれの山もあだに思はで
次の歌
山深み霞こめたる柴の庵に 言問ふものは鶯の声