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山深み霞こめたる柴の庵に
言問ふものは鶯の声

歌の意味
山が深いので霞が立ちこめている柴の庵に、訪れて声をかけてくれるものは、鶯の声だけである。
鑑賞
雑歌 991

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 山が深いので霞が立ちこめている柴の庵に、訪れて声をかけてくれるものは鶯の声だけである、と詠む。人の訪れない春の山住まいで、鶯だけが訪れる寂しさと慰めを述べている。ここから第九百九十四首まで鶯の歌が続く。

 初句「山深み」は、山が深いので、の意で、形容詞の語幹に「み」が付いて理由を表す。
 二句「霞こめたる」は、霞が立ちこめている、の意である。
 三句「柴の庵に」は、柴で作った粗末な庵に、の意で、六音の字余りである。
 四句「言問ふものは」の「言問ふ」は、訪れて声をかける、の意である。
 結句「鶯の声」は体言止めで、春を告げる鶯の声で結ぶ。

こととふ:言葉をかける、訪れる
作者
西行
出典
山家集
前の歌
雲かかる山見は我も思ひ出に 花ゆゑ馴れし睦び忘れず
次の歌
鶯は田舎の谷の巣なれども だびたる音をば鳴かぬなりけり