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過ぎて行く羽風なつかし鶯に
なづさひけりな梅の立枝に

歌の意味
過ぎてゆく鶯の羽風がなつかしい。鶯に慣れ親しんだのであったな、梅の高く伸びた枝で。
鑑賞
雑歌 994

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 過ぎてゆく鶯の羽風がなつかしい、梅の高く伸びた枝で鶯と慣れ親しんだからであったな、と詠む。梅に宿る鶯の羽ばたきの風に、梅の香も漂うのを感じて慕わしく思う心を述べている。

 初句「過ぎて行く」は、過ぎてゆく、の意で、六音の字余りである。
 二句「羽風なつかし」の「羽風」は、鳥の羽ばたきで起こる風で、「なつかし」は慕わしい、の意である。ここで句切れとなる。
 三句「鶯に」は、鶯に、の意である。
 四句「なづさひけりな」の「なづさふ」は、慣れ親しむ、の意で、「な」は詠嘆の終助詞である。ここでも句切れとなる。
 結句「梅の立枝に」の「立枝」は、高く伸びた枝の意で、倒置によって四句を受けて結ぶ。

はかぜ:鳥の羽ばたきで起こる風
なづさふ:慣れ親しむ
たちえ:高く伸びた枝
作者
西行
出典
山家集
前の歌
鶯の声に悟りを得べきかは 聞く嬉しきもはかなかりけり
次の歌
山もなき海の面にたなびきて 波の花にもまがふ白雲