古典和歌stream

波につきて磯廻にいます荒神は
潮踏む禰宜を待つにやあるらん

歌の意味
波に沿って磯辺に鎮座しておられる荒神は、潮を踏んで仕えに来る禰宜を待っておられるのであろうか。
鑑賞
雑歌 998

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 波に沿って磯辺に鎮座している荒神は、潮を踏んで仕えに来る禰宜を待っておられるのだろうか、と詠む。海辺の小さな社と、そこに仕える禰宜の姿を思い描いている。

 初句「波につきて」は、波に沿って、の意で、六音の字余りである。
 二句「磯廻にいます」の「磯廻」は磯の湾曲した所、「います」は鎮座しておられる意である。
 三句「荒神は」は、荒々しい神は、の意である。
 四句「潮踏む禰宜を」の「禰宜」は神に仕える神職で、潮を踏んで仕えに来る禰宜を、の意である。
 結句「待つにやあるらん」は、待っておられるのであろうか、の意である。

いそわ:磯の湾曲した所、磯辺
きね:神に仕える者、禰宜
作者
西行
出典
山家集
前の歌
古畑の岨の立つ木にゐる鳩の 友呼ぶ声にすごき夕暮
次の歌
潮風に伊勢の浜荻伏せばまづ ほすしほ波のあらたむるかな