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浦近み枯れたる松の梢には
波の音をや風は借るらん

歌の意味
浦が近いので、枯れた松の梢では、風は波の音を借りて鳴っているのだろうか。
鑑賞
雑歌 1001

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 浦が近いので、枯れた松の梢では、風が波の音を借りて鳴っているのだろうか、と詠む。葉の落ちた枯れ松は松風の音を立てないので、聞こえてくる音は波の音を借りたものだろう、という趣向である。前歌の松を受けている。

 初句「浦近み」は、浦が近いので、の意で、形容詞の語幹に「み」が付いて理由を表す。
 二句「枯れたる松の」は、枯れた松の、の意である。
 三句「梢には」は、梢では、の意である。
 四句「波の音をや」の「や」は疑問の係助詞で、結句の「らん」と係り結びをなしている。
 結句「風は借るらん」は、風は借りているのだろうか、の意である。

うら:海や湖が陸地に入り込んだ所
作者
西行
出典
山家集
前の歌
荒磯の波にそなれて這ふ松は 鶚のゐるぞたよりなりける
次の歌
淡路島瀬戸のなごろは高くとも この潮にだに押し渡らばや