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おぼつかな伊吹颪の風先に
朝妻舟は逢ひやしぬらん

歌の意味
気がかりなことだ。伊吹山から吹きおろす風の先に、朝妻の舟は出会ってしまったのではないだろうか。
鑑賞
雑歌 1005

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 伊吹山から吹きおろす風の先に、朝妻の舟が出会ってしまったのではないかと気がかりだ、と詠む。朝妻は近江国の琵琶湖東岸の港で、伊吹山はその北東にそびえる山である。湖上を行く舟の身を案じている。

 初句「おぼつかな」は、気がかりだ、の意で、ここで句切れとなる。
 二句「伊吹颪の」の「伊吹颪」は、近江国と美濃国の境にある伊吹山から吹きおろす風である。
 三句「風先に」は、風の吹きつける先に、の意である。
 四句「朝妻舟は」の「朝妻」は琵琶湖東岸の港で、そこを出る舟をいう。
 結句「逢ひやしぬらん」の「や」は疑問の係助詞で、「らん」と係り結びをなし、出会ってしまったのだろうか、と結ぶ。

いぶきおろし:伊吹山から吹きおろす風
かざさき:風の吹きつける先
あさづま:近江国の琵琶湖東岸の港
作者
西行
出典
山家集
前の歌
磯に折る波の険しく見ゆるかな 沖になごろや高く行くらん
次の歌
くれ舟よ朝妻渡り今朝なせそ 伊吹の岳に雪しまくめり