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くれ舟よ朝妻渡り今朝なせそ
伊吹の岳に雪しまくめり

歌の意味
舟よ、今朝は朝妻の渡りをしてはならない。伊吹の山に雪が吹きすさんでいるようだ。
鑑賞
雑歌 1006

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 舟よ、今朝は朝妻の渡りをしてはならない、伊吹の山に雪が吹きすさんでいるようだ、と詠む。前歌に続いて朝妻と伊吹を詠み、雪まじりの嵐を案じて舟出を止めようとしている。初句の「くれ舟」は語義が定かでないが、舟への呼びかけである。

 初句「くれ舟よ」は、語義が定かでないが、舟への呼びかけである。
 二句「朝妻渡り」は、朝妻の渡し場を渡ることで、前歌の「朝妻舟」を受けている。
 三句「今朝なせそ」の「な〜そ」は禁止を表し、今朝はしてはならない、の意である。「朝」と「今朝」が響き合っている。ここで句切れとなる。
 四句「伊吹の岳に」は、伊吹山の峰に、の意で、前歌の「伊吹颪」を受けている。
 結句「雪しまくめり」の「しまく」は激しく吹き荒れる、「めり」は推定の助動詞で、雪が吹きすさんでいるようだ、と結ぶ。

しまく:風雪が激しく吹き荒れる
作者
西行
出典
山家集
前の歌
おぼつかな伊吹颪の風先に 朝妻舟は逢ひやしぬらん
次の歌
近江路やのちの旅人急がなん やす河原とて遠からぬかは