- 歌の意味
- 鹿が伏している木陰の暗がりの下の、巻きついた葛の葉を、吹いて裏返す秋の初風であることよ。
- 鑑賞
-
雑歌 1013
詞書は前の歌に続き「題しらず」
鹿が伏している木陰の暗がりの下で、巻きついた葛の葉を、秋の初風が吹いて裏返す、と詠む。葛の葉は風に吹かれて白い葉裏を見せるもので、その白さに秋の訪れを感じ取っている。
初句「すがる伏す」の「すがる」は鹿の異名で、鹿が伏している、の意である。
二句「木暗が下の」は、木が茂って暗い下の、の意である。
三句「葛巻を」は、巻きついた葛の葉を、の意である。
四句「吹き裏返す」は、吹いて葉を裏返す、の意で、葛の葉の白い葉裏を見せることをいう。
結句「秋の初風」は体言止めで、秋の初めに吹く風で結ぶ。
すがる:鹿の異名
くず:つる性の植物、葉裏が白い
- 作者
- 西行
- 出典
- 山家集
- 前の歌
- 朝帰るかりゐうなこのむら友は 原の岡山越えやしぬらん
- 次の歌
- 諸声にもりかきみかぞ聞こゆなる 言ひ合はせてや妻を恋ふらん