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紅の色なりながら蓼の穂の
からしや人の目にも立てぬは

歌の意味
紅の色でありながら、蓼の穂のその辛さよ、人が目にもとめないのは、つらいことだ。
鑑賞
雑歌 1016

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 紅の色をしていながら、蓼の穂は人に目もとめられない、そのつらさよ、と詠む。蓼は辛味のある草で、紅色の穂をつけるが、花として愛でられることはない。その辛さと、顧みられないつらさとを重ねている。

 初句「紅の」は、紅色の、の意である。
 二句「色なりながら」の「ながら」は逆接の接続助詞で、色でありながら、の意である。
 三句「蓼の穂の」の「蓼」は辛味のある草で、紅色の穂をつける。
 四句「からしや人の」の「からし」は、蓼の辛さの意と、つらい意とを掛けた掛詞である。「や」は詠嘆の間投助詞である。
 結句「目にも立てぬは」は、目にもとめないのは、の意で、「立て」は三句の「蓼」の音を響かせている。

たで:辛味のある草、紅色の穂をつける
からし:辛い意と、つらい意を掛ける
めにたつ:目にとめる、注意して見る
作者
西行
出典
山家集
前の歌
菫咲く横野のつばな咲きぬれば 思ひ思ひに人通ふなり
次の歌
蓬生はさま異なりや庭の面に 烏扇のなぞ茂るらん