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柳原川風吹かぬ影ならば
暑くや蝉の声にならまし

歌の意味
柳原よ、もし川風の吹かない木陰であったならば、蝉の声も暑苦しく聞こえたであろうか。
鑑賞
雑歌 1019

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 柳原が、もし川風の吹かない木陰であったならば、蝉の声も暑苦しく聞こえただろうか、と詠む。川風の吹く柳の木陰では、蝉の声さえ涼しく聞こえる夏の情景を描いている。

 初句「柳原」は、柳の生い茂る原の意である。
 二句「川風吹かぬ」は、川風の吹かない、の意である。
 三句「影ならば」は、木陰であったならば、の意である。
 四句「暑くや蝉の」の「や」は疑問の係助詞で、結句の「まし」と係り結びをなしている。
 結句「声にならまし」の「まし」は反実仮想の助動詞で、声になっただろうか、と結ぶ。

かげ:物陰、木陰
作者
西行
出典
山家集
前の歌
刈り残す水の真菰に隠ろへて 影持ち顔に鳴く蛙かな
次の歌
久木生ひて涼めとなれる影なれや 波打つ岸に風渡りつつ