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久木生ひて涼めとなれる影なれや
波打つ岸に風渡りつつ

歌の意味
久木が生えて、涼めとばかりに作られた木陰なのであろうか。波の打ち寄せる岸に風が吹き渡って。
鑑賞
雑歌 1020

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 久木が生えて、涼めとばかりに作られた木陰なのだろうか、波の打ち寄せる岸に風が吹き渡って、と詠む。久木は木の名で、アカメガシワやキササゲとされる。前歌に続いて、夏の水辺の木陰の涼しさを詠んでいる。

 初句「久木生ひて」の「久木」は木の名で、六音の字余りである。
 二句「涼めとなれる」は、涼めと言わんばかりにできた、の意である。
 三句「影なれや」の「や」は疑問で、木陰なのであろうか、の意である。ここで句切れとなる。
 四句「波打つ岸に」は、波の打ち寄せる岸に、の意である。
 結句「風渡りつつ」は、風が吹き渡って、の意で、倒置によって三句の理由を示している。

ひさぎ:木の名、アカメガシワやキササゲとされる
作者
西行
出典
山家集
前の歌
柳原川風吹かぬ影ならば 暑くや蝉の声にならまし
次の歌
月のため水錆すゑじと思ひしに 緑にも敷く池の浮草